I Am The Walrus

マーク・ルイソン氏の『レコーディング・セッションズ』では、

  1. 第16テイクがベーシックトラック。
  2. 第16テイクをリダクションして、ベース・ドラムス・ヴォーカルを追加したものが第17テイク。
  3. 第17テイクをリダクションして、空けた1トラックにオーケストラを追加したものが第20テイク。
  4. 第20テイクをリダクションして、空けた1トラックにマイク・サムズ・シンガーズのコーラスを追加したものが第25テイク
  5. 第25テイクを1トラックにリダクションして第17テイクの第2トラックに戻したものが最終マスター。第17テイクには同じリズムトラックが2つ入っていることになる。

と記されている。

第25テイクまで行っておきながら第17テイクに戻った理由がサッパリ解らない。この行程にはマーク・ルイソン氏の勘違いが含まれていると思われる。

ステレオバージョン(どれでも同じ)を作成するためには最終的なテープ構成は以下のようになっているはずである。

  1. 左の演奏(ベーシックトラック)
  2. 右の演奏
  3. 中央のベースとドラムス
  4. 中央のヴォーカル

ここで証明しなければいけないのは中央のベース・ドラムス・ヴォーカルに関する点であるが、これは以下に示すモノとステレオの相違でヴォーカルだけにADTが掛けられていることから明らかである。最終的にヴォーカルが1トラック占有しているということである。
(左がモノ、右がステレオ)
ヴォーカルのADT

問題となるのは「右の演奏」で、これが第25テイクから戻された音になるはずだが特にリズムトラックは入っていない。となると、第20テイクと第25テイクで追加した音を録音する際にモニター音が入ってしまっており、それを「ミキシングした音」と勘違いしたと考える方が妥当である。このことから第20テイク以降の作業は第17テイクに同期したオーケストラを録音するためのもので、第17テイクにオーケストラ部分を戻すことが前提だったと考えられる(A Day In The Lifeと同様)。
それを裏付ける証拠としてLOVEに収録された同曲には、オーケストラが最低でも2トラック(もしかしたらチェロ系、バイオリン系、ホルン系の3トラック)に分離した状態でミキシングされている。決して「空いた1トラックに録音」したものではないことが解る。


ついでにLOVEの話題。
YELLOW SUBMARINE SONGTRACKと同様、古いテイクから演奏を集めて同一のマルチトラックテープに移してミキシングしている。

  • 第16テイクの演奏(4トラック分)
  • 第17テイクのベースとドラムス
  • 第17テイクのヴォーカル
  • 第20テイクのオーケストラ(2or3トラック分)
  • 第25テイクのコーラス

各テイク間での同期が取れていないのは以下の通り(ここではタンバリンに合わせて同期させてみている)。
(左がLOVE、右がモノ)
LOVEのオーケストラ

誰もが気になるラジオ音声だが、これはモノバージョンから分離させたものではない。どんなに技術が進歩しようと入って無い音を抜き出すことはできない。以下がその顕著な部分である。
(左がLOVE、右がモノ)
LOVEのラジオ音声

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