A Day In The Life

マーク・ルイソン氏の『レコーディング・セッションズ』によると第6テイクと第7テイクの作業が複雑に入り組んでいることだけは解るが、その実体は理解し難い。
ただし、この曲はスタッフにとっても金字塔だったらしく、SIRマーティンやジェフ・エメリックの著書でも詳述されており、オーケストラを録音した第7テイクは同期信号の入った4トラックテープと、そのスレーブとして使用するオーケストラだけが録音された4トラックテープで構成されていることが解っている。

理解し難い要因のひとつとして日本語訳の難しさもあるかと思う。『レコーディング・セッションズ』日本語版では「第7テイクに第6テイクのSIを加えてリダクション」という記述がある。単純に理解すれば第7テイク上で、ピンポン録音によるリダクションをしながら第6テイクの音も加えたように読める。つまり作業の主体は第7テイクである。ところが原文では”reduction of take 7 with SI onto take 6″となっている。つまり「第6テイクにSIしながら第7テイクをリダクションした」ということで全く逆の内容になっている。

前置きが長くなったが、次の検証でこれらを解明できる。
(左がモノ、右がステレオ)
最初のクレッシェンド開始
最終的にはステレオ・バージョンもモノ・バージョンも第6テイクと第7テイクで行われていることから、共通するリズムトラックは第6テイクのもの、同じような音なのに左右に分かれているのが第7テイクの音となる。この第7テイクの音にはリズムトラックが含まれてないのでオーケストラ用テープのみをミキシングしているのが解る。

最初のクレッシェンド途中
途中からブラス系の音が共通した音として聴こえてくる。これにより第6テイクにオーケストラの音が加えられたことが証明できる。

最初のクレッシェンド終了
モノ・バージョンでは第7テイクの音が中央(第6テイク)の音の少し手前で終わるため曲の展開が奇麗に行われているが、ステレオ・バージョンではやや余韻を持った終わり方になっている。

2回目のクレッシェンド開始
モノ・バージョンでは第7テイクの音がかなり早い段階でミキシングされているが、ステレオ・バージョンでは”five six”とカウントする辺りでようやくフェードインしてくる。

これらから、第6テイクに入れたオーケストラは最低限の骨格となる演奏で、正確には同期の取れない第7テイクを効果音的に使っていると思われる。

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