28. グリン・ジョンズのアルバム『GET BACK』がボツになった時期は?

ゲットバックセッションでは大量のオールディーズが録音されていますが、これは他のアルバムセッションでも普通に行われていた制作風景と思われます。
撮影は1月に完了したものの、実質的な完成品は10曲ほどしかなくアルバム制作には曲不足でした。

グリン・ジョンズはアップルスタジオでの録音分でアルバムを作る事を提案しますが、ビートルズは新曲を追加する選択します。この結果2月〜4月にかけてレコーディングは継続されていますが、最終的に無関係なYou Know My Name (Look Up The Number) まで引っ張り出しています。この事からビートルズはゲットバック・プロジェクトの興味が失せて、単なるアルバム制作の感覚になっていたのが分かります。

それでも4月末には曲を揃えてグリン・ジョンズにアルバム制作(と映画のサウンドトラック制作)を依頼しています。この時にジョンズは再びアップルスタジオでの録音分だけでアルバムを制作する提案をし、今度は了承されています。

アルバム『GET BACK』の内容から分かるように、ジョンズはプロジェクトの初期の方針を尊重して作業しています。2月〜4月に行われたスタジオレコーディングは使わず、ビリー・プレストンが加わった初日の雰囲気をリハーサル風景のメインとしています。

アルバムは完成しましたが、映画の進捗は芳しくありませんでした。
7/20の試写でジョンとヨーコのパートが大幅にカットされ、再編集した10/3の試写ではスタッフが登場する場面がカットされます。
これらの修正でアルバム収録曲も差し替える必要が生じます。

年末になってジョンズは『GET BACK 』の修正依頼を受けています。

『GET BACK #2』では映画に登場しないTeddy Boy がカットされました。ポールは丁度この時期にソロアルバムの制作を始めていましたので、収録先変更です。

代わりにI Me MineAcross The Universeが追加されます。
I Me Mineはカナダに行っていたジョンを除くスリートルズでの新規レコーディングとなりますが、映画でもジョンはヨーコと踊っているので特に問題はありませんでした。

決定的なトラブルがAcross The Universeで起こります。
ジョンから受けた依頼には68年に録音した‘Across The Universe’のボーカルを再録音する作業も含まれていたとジョンズは証言しています。この録音が可能なのは69/12/15のオリンピック・サウンド・スタジオでの作業時のみです。
この時に、ジョンが最初にベストのボーカルを歌ったにも関わらず、ウォームアップと考えていたジョンズは録音レベルの調整をしていただけでテープには録音していませんでした。2度と再現できないと言うジョンの怒りを買いつつ2度目のボーカル録音が行われましたが、ジョンは歌い終わるとそのまま帰ってしまったという事です。

ジョンズはそれ以来ジョンに会ってないという事ですので、その時点でジョンはジョンズを見限っていたのでしょう。

しかし、ジョンはそのままカナダやデンマークに行ってしまいますので、残されたメンバーは事情を知らなかったと思われます。前述のI Me Mineの新規レコーディングやLet It BeFor You Blueの修正を行います。
ジョンズはこれらを使って『GET BACK #2』を制作しますが、肝心のAcross The Universeに新たなボーカルは確認できません。結局ジョンズは第7テイク(つまりオリジナル・ボーカル)を本来の速度でミキシングしただけです。

1月末にジョンは‘Instant Karma!’のレコーディングでフィル・スペクターと出会い、以降は史実の通りの展開となります。

ちなみに、ポールとジョンズはトラブルが無かったらしく『RED ROSE SPEEDWAY』(1973)でエンジニアをしています。

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