24. Revolution vs Ob-La-Di, Ob-La-Da ジョンとポールのスピードアップ合戦、結末は?

Revolutionネタ3部作の完結編はシングルまでの紆余曲折です。

68年7月(?)のミュージックライフ誌が「ビートルズの新曲は『リヴォルーション』」と予告しています。
時期的にはRevolution 1だった可能性が高く、同時期(7月上旬)のB面候補となるとOb-La-Di, Ob-La-Daくらいでしょう。

リメイクを繰り返したOb-La-Di, Ob-La-Daですが、7/9にようやく完成が見えてきたようです。

ポールがシングル曲のテンポについて意見したのはこのタイミングと思われます。
同日の後半はテンポアップしたRevolutionのリハーサルが行われて、翌日にレコーディングの運びとなります。

この時点では両曲ともKey Aです。
Revolution(Key A)
Ob-La-Di, Ob-La-Da(Key A)

両曲は7/11-12にかけて完成しますが、ミキシングで謎のバトルが垣間見えます。

ポールは完成直後にテープ速度をKey Bb強に上げたモノ・ミキシングを試していると思われます。
ジョンは7/12に完成させて普通のモノ・ミキシング(Key A)をしていると思われます。

「シングルに相応しいテンポ」についてポールが何かを仕掛けたようですが、この週はこれで終わります。

翌月曜日(7/15)、ジョンはRevolutionのテープ速度をKey Bb強に上げてモノ・ミキシングをして完了します。
同日、ポールはOb-La-Di, Ob-La-Daのテープ速度をKey Bb強に上げた状態でボーカルを差し替えてからミキシングを行なっています。

翌7/16にジェフ・エメリックがビートルズのエンジニアを降りてしまうことから、かなり険悪な鍔迫り合いがあったと想像されます。

「A面にするならテンポが速い方が良い」という不毛な争いは意外なダークホース(と言ってもジョージではありません)によって幕を閉じます。


この当時、ジョンはヨーコと行動を共にしていただけでなく、シンシアとの離婚申請(7月)を提出しています(離婚が成立するのは11月8日)。
この事実を基にポールがHey Judeを作曲していることから、ジョンが個人的な話をポールにしているのは明らかです。

一方、ポールもジェーン・アッシャーと別れています。この事実は余り語られませんが、7/20にジェーンがポールとの婚約解消を発表するという形で公知となっています。ポールの浮気がバレてから数週間はもめていたのでしょう。とかくヨーコの存在が問題になりますが、ポールのプライベートはそれどころでは無かったはずです。

従って、2人が険悪だった訳ではなく、各々の個人的なストレスがエメリックに向いていたりスタジオの空気を悪くしていたと推察されます。

閑話休題。

ポールはシンシアとジュリアンの元へ車を走らせていた道中に思いつき、子供には辛い状況だと分かった上で”Hey Jules(Julianのこと), don’t make it bad ~”という歌い出しにすることで楽観的で希望のあるメッセージにした、というのが公式見解になっています。

この詩に関してジョンは別の解釈も示しています。ヨーコの登場でパートナーを失いそうになっているポールが自分に当てた曲に聞こえると言い、”Hey, Jude”は”Hey, John”の意味であり、“go out and get her”は潜在意識下で”Go ahead, leave me.”と言っていると解釈しています。

ジョンの解釈通り、一貫して登場する ”her” は ”you” がジュリアンでは辻褄が合いません(ジュリアンは母シンシアと住む)。

そしてもう1パターン、”her” がジェーン、”you” がポール自身、それを俯瞰的にみたとも解釈できます。ポールもまた”her” を失ったばかりでジュリアンに自分を投影していたのかも知れません。

いずれにせよ、有無を言わせぬ(ジョンも認める)名曲はテンポ論争では不利なはずのスローテンポでありながらA面に収まりました。