A Hard Day’s Night

文章で伝えれない相違ほど口惜しいものはない。アビーロードスタジオにはエコーを付けるための部屋(エコーチェンバー)が併設されている。その内部構造は検索すれば容易に映像で確認できるが、エコー効果を伝える資料はない。ところが、モノミキシングではエコーチェンバーを使用していながら、ステレオミキシングでは使用していない場合が多く、同期再生の副産物としてエコー効果を聴くことができる。ただ、「エコーが深い」という表現手段しか持ち合わせていなかったのが残念で仕方ない。

この曲はエンディングの編集が主な相違で、ロングバージョンの作り方などを判りやすい情報として提供していた。それはそれで良いのだが、サウンド作りという観点ではエコーチェンバーの使い方も重要な要素である。文章力さえあれば...

(左がモノ、右がステレオ)
ジョンのボーカルに掛かっているエコー

冒頭0’10″付近のボーカル部分である。ジョンのボーカルは中央で聴こえ、それに掛かったエコー成分だけが左から聴こえている。これがエコーチェンバーの効果であり、ステレオバージョンには入っていない極めて重要なミックス違い要素である。

ポールのボーカルに掛かっているエコー

こちらは最初のサビでのポールのボーカル部分である。エコーチェンバーはひとつしか無いので当然同じ設定での効果が付いている。

これらが最初から最後まで付いているので、単にミックス違いを聴いているよりは遥かに興味深い。また、ハイハットの音がエコー音に混ざったりしているので、ボーカルトラックに相当の演奏音が入っていると推測される。

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