I Should Have Known Better

ビートルズを聴き始めて、誰でもすぐに気付く別バージョン。個人的にはハーモニカがブレイクするバージョンも気に入っているしイントロだけ別テイクなのだろうと思って特に気にもしていなかったが、マーク・ルイソン氏の『レコーディング・セッションズ』を読んでビックリ。別テイクを使ったという記述がない。そこで俄然、謎解き意欲が湧いてきた。

モノとステレオを普通に同期させると、イントロの3小節目の3拍目で編集されているのは容易に解る。当然コピー元が1小節目か2小節目なのも明白なので作業は簡単なはずだった。ところがちょっとした落とし穴が待っていた。
(左がモノ、右がステレオ)
イントロの穴埋め
これを聴けば解る通り、差し替えられたのは1小節と1拍の長さである。この最後の1拍が解らなかったのだ。当初、モノバージョン同士で比較していたため、「最後の1拍」である4小節目の3拍目は、本来の位置が3小節目の3拍目、つまり既に編修で差し替えられていてオリジナルの音ではないのである。この例のようにステレオバージョンと比較する必要があることに気付くのにかなりの期間を要してしまった。
※ この穴埋めをするために3小節目の3拍目は差し替えられているが、その音自体は4小節目の3拍目に存在しているという不思議な状態になっている!

ボーカルの修正
こちらは本来ノイズが乗っていた”gonna”という部分をコンピュータ処理で奇麗にした箇所である。それでもボーカルに相違があるということは、いったん部分的に切り出して、ノイズ除去を行った後にややズレた状態で戻してしまったのだろう。

別テイクのボーカル(始点)
別テイクのボーカル(終点)
2回目のサビ、本来のミックス違いである。ダブルトラックとして録音しているが、サビではシングルトラックとすることだけが決まっていたようだ。2つのトラックに優劣が付いていなかったため、たまたまモノとステレオで違う方を採用してしまったのだろう。前者の”Oh”から別テイクとなり、後者の”mine”からダブルトラックに戻る様子が解る。

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