I’ll Cry Instead

マーク・ルイソン氏の『レコーディング・セッションズ』では、セクションAとセクションBに分けて録音された、と記されている。
ただし、各々の内容までは書かれていない。モノバージョンとステレオバージョンを同期比較していると、1’09″の”instead”前に編集ポイントがあるのが解る。となると、前半にも後半にもAメロとサビが含まれているので、「セクションAにはエンディングが無く、セクションBにはイントロが無い」という程度の相違しか思いつかない。現時点でもAとBに分けた理由は謎のままである。
ちなみにUSモノのロングバージョンはこの編集点にAメロが入っているだけなので、セクションAのものかセクションBのものかを特定することはできない。

ここでは、今後の分析者のための指針として相違を示しておく。

(左がモノ、右がステレオ)
セクションA
モノにはミキシング時にエコーが掛けられている。これはセクションAに特化したものではない。

セクションBサビ(始点)
セクションBサビ(終点)
モノにはミキシング時にエコーが掛けられているのはセクションAと同様だが、セクションAに比べるとやや控えめになっているようである。一方、ここに示したサビ部分では、ボーカルのエコー音とタンバリンが右側(ステレオバージョン側)から聴こえている。タンバリンはエコーではなく別演奏のようなので、タンバリンがダブルトラックになっていると判断している。これらの音の解釈が演奏内容を分析する鍵となる。

私の解釈では、ボーカルのエコーはステレオバージョンのこの箇所にだけ掛けたのではなく、タンバリンを演奏する時にモニターしていた音(ヘッドフォンではなくスピーカーをモニター用に使っていたらしいので)が自然とエコーとなって入ってしまったものと考えている。つまり、モノバージョンのミキシングの時に、ここだけタンバリンをオフにしたのがステレオバージョン側だけで聴こえる理由である。全曲バイブルにタンバリンが2つ記載されていて、かつタンバリン用のトラックがあるのはこれを根拠にしている。
ステレオバージョンの音像からセンターのボーカルが1トラック使っているのは確実なのでこのような分析になっている。ただ、アコースティックギターはベーシックトラックとして録音されているべきなのだが、ここにタンバリンを入れざるを得ない点が不可解なのは認めざるを得ない。現時点ではアコースティックギターはアフレコという解釈である。

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