Honey Don’t

主な相違はリンゴのボーカル修正2カ所というものだが、当時のレコーディングの様子が解る貴重な情報になっている。

(左がモノ、右がステレオ)
“honey”の差し替え
“honey”のタイミングを修正する際のものだが、まずタンバリンの入れ替えからスタートしているのに驚く。右に移動するタンバリンが本来録音されている音で、左に聴こえるタンバリンがミキシング中に演奏されている音である。その後、録音済みの”honey”がカットされ、新たな”honey”に差し替えられ、即座に録音済みの”don’t”に戻る。これは、「ボーカルを入れ替えるにはタンバリンも入れ替えなければいけない」ことを示している。ステレオバージョンから普通に判断するなら、右チャンネルのギターが同一トラックで、中央のボーカルとタンバリンが別トラック、とするのが一般的と思われる。ところがこの編集を聴けば、ボーカルとタンバリンが同じトラックで、右のギター2本が別トラックになっている、と考える方が妥当である。

“don’t”の差し替え
こちらは音程の問題だろうか。やはりボーカルと共にタンバリンの音を変更している。わざわざボーカルトラックにタンバリンを入れた理由はひとつ、リンゴのボーカルが安定していなかったためリンゴ自身に叩かせたと推測できる。そう思って聴いてみると、他のボーカル部分も自信無さそうな声に聴こえる。考えてみれば、元々ジョンのレパートリーをリンゴ用のボーカル曲として充てがわれたのだから、歌い慣れてないのも当然である。

これらから、レコーディング時点では時間的な制約で録音が完了していても、ミキシング時に呼び出されることがあったと推測できる。ミキシングセッションに積極的には参加していなくても、必然的に参加せざるを得ない場合もあったのだろう。

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