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モノバージョンとステレオバージョンで歌詞が違うとライナーノーツに書かれていたのが全ての始まりだったと記憶している。この解明がしたくて同期再生による分析が始まったといっても過言ではない。

主たる相違はタンバリンの有無であることから英国に於けるマイム禁止への対策が目的であることは容易に想像が付いた。ダブルトラックになっているボーカルの片方のトラックにだけタンバリンが入っているので本来ならモノバージョンをシングルトラック状態でミキシングすれば済むはずである。
ところがジョージのリードギターが悩ましい結果を招いてしまう。有名な下降フレーズの成功率が低く、ベーシックトラックの録音時にはそれをカットし、後で追加録音するよう方針変更されたのである。このスペースを作るため、2つあったボーカルトラックが1つに纏められ、4トラックレコーディング初のテープリダクションが行われたのである。つまり、唯一のボーカルトラックは2重になったボーカルとタンバリンが混ざった状態になったのである。

ここから以下の分析が始まる。

(左がモノ、右がステレオ)
イントロ
タンバリンの影響を受けないため、ほぼ同じ内容となっている。唯一違うのはモノバージョンにはエコーが掛けられていることである。

最初のヴァース
ヴァースの直前に編集箇所があり、一部の歌詞が違うどころかボーカル全部が別テイクになっている。当初、古い世代のテイクからタンバリンの無いボーカルトラックをコピーしたものと推測して試行錯誤してみたが、ボーカル部分を同期させることは出来なかった。

サビのタンバリン
同様に演奏は同じだがボーカルが別になっている。

サビの最後
ここが本来のミックス違いだが、ボーカル違いの衝撃が大きいため陰が薄い。モノバージョンはコーラスとギターを生かすためにリズムセクションをオフにしている。

結局のところ、Komm, Gib Mir Deine Handのようにカラオケを作成してボーカルを録音し直した、というのが真相のようだ。この録音全体は映画のオリジナル音声に使われたが、レコードリリースに当たってはタンバリンの問題が無いイントロ部分はオリジナル録音に差し替えたということのようだ。
あっけない幕切れだったが、長らく疑問だったこの件が音源調査の原動力になっていたのは確かである。

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