【3代目(多分)『ジョンの魂』の調査】

参考:『ヨーコの芸術』のライナーノート

とりあえず比較対象は以下、これだけでも多すぎるのでベスト盤などのリマスターは割愛!
  1. 初代(89年):アナログ盤のCD化
  2. ("JOHN LENNON 1989")
  3. 2代目(2000年):ミレニアム企画のリミックス
  4. ("JOHN LENNON 2000")
  5. 3代目CD1:今回のリミックス
  6. ("JOHN LENNON 2021 Disc 1")

※以降のリンクで曲を再生できますが、アルバム名が『JOHN LENNON』だけでは区別できませんので、年と"Disc 1"を加えてください。

曲目リスト

Mother
Hold On
I Found Out
Working Class Hero
Isolation
Remember
Love
Well Well Well
Look At Me
God
My Mummy's Dead

コラム:Plastic Ono Band 誕生
Give Peace A Chance
Cold Turkey
Instant Karma! (We All Shine On)

概要
レコーディングは9/26からスタートしている。
テープボックスのメモによると、この日に着手している‘Mother’は「トラック1にベース、トラック2にドラムス」というビートルズ時代から馴染んだトラック割りになっている。

ところが翌日のテープボックスから「トラック1とトラック2を使ってドラムスをステレオ録音、トラック3がベース」に変わっている。

Mother

曲紹介
イントロの鐘は最初の音をサンプリングして繰り返したもの。
区切り位置(編集跡)が無いことからテープループを作って録音したと推察されるが、テープ速度を15ipsと仮定した場合のテープ長は3mにも及ぶ。そのため安定したテープ走行にならず音が微妙にふらついている。

以下の同期音源は、左がオリジナル、右は鐘の音の1音分(8秒くらい)遅れたものです。
2音目が1音目と同じ、3音目が2音目と同じ、4音目が3音目と同じ、つまり全て同じであるのが分かります。

『JOHN LENNON 1989』で確認する
『JOHN LENNON 2021 Disc 1』で確認する

第64テイクをBESTとしているが、メモ欄には「BEST SUPER PORNO ⑤⑥」の記載がある。このテイクはベストとは言え最初のヴァース("mother ~")の演奏に不具合があったらしく、次のヴァース("father ~")をコピペして差し替えたものをマスターテイク(第93テイク)としている。つまりここのファースト・ボーカルは歌い直している。
『JOHN LENNON 1989』で確認する
『JOHN LENNON 2021 Disc 1』で確認する
1989版歌い出しでキックが先に鳴り始めている。2000版はここをポイントにしていたらしく、歌い出しの全演奏をジャストに補正した上で、ベース音が追加されている。
また、"Goodbye"の後(3'12")からピアノの余韻が大きくなる。この音がTrack 8に録音された"Bumped pianos"の内容と思われる。2021版でも4'09"("home"のタイミング)から顕著になる。

ボーカルには2トラックを使っており、いずれのバージョンもメインとなっているのは同じトラックである。ただし、両トラックにはタイミングの異なる箇所が多々あり、2000版ではタイミングのずれるサブのトラックを控えめに扱っている。
オリジナル(1989版)では2箇所だけメインのボーカルをオフにしてサブを使う箇所がある。2021版はその箇所も含めてメインとサブのバランスをオリジナル通りにしている。

その他、両リミックス版はボーカルとベースを前面に出して、ピアノとドラムスは抑え気味にしているのが特徴的である。特にベースに掛けられたエフェクト効果は全く同じものと思われ、音源比較での差異は感じられない。一方、1989版(オリジナル)のベースにもディレイ音が含まれているが、時期的にADTの可能性も考えられる。
‘Mother’
聴き比べ表
JOHN LENNON 1989
JOHN LENNON 2000
JOHN LENNON 2021
Disc 1
0'00"
0'00"

0'00"~0'34":鐘の音はテープループ
0'34":編集跡
0'00"

0'00"~~0'34":鐘の音のヒスノイズを除去&ワウフラッターの改善
0'00"

0'00"~~0'34":鐘の音のヒスノイズを除去
0'30"
0'30"

0'34":1拍目でキックが先に鳴り始める
0'34"~:ピアノが大きめ
0'34"~:ベースにディレイ
0'30"

0'34":1拍目にベース音を追加
0'34"~:ベースにエンハンサー
0'30"

0'34"~:ベースにエンハンサー
0'34"~:ピアノとドラムスは抑え気味
0'34"~:ボーカルのバランスが1988版と完全一致!
1'00"
1'00"
1'00"
1'00"
1'30"
1'30"
1'30"
1'30"
2'00"
2'00"
2'00"
2'00"
2'30"
2'30"
2'30"
2'30"
3'00"
3'00"

3'16":2拍目に舌打ち音
3'00"

3'12"~:ピアノの余韻が大きくなる
3'00"
3'30"
3'30"

3'43":3拍目に舌打ち音
3'30"
3'30"
4'00"
4'00"
4'00"
4'00"

4'09"~:1拍目("home"のタイミング)からピアノの余韻が加わる
4'30"
4'30"

4'54":1拍目にハーモニックスのようなC音
4'30"
4'30"
5'00"
5'00"
5'00"
5'00"

『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2000』
『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』
『JOHN LENNON 2000』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』

4-01 Mother (take 64 & 93)
ガイド・ボーカル(ベーシック・トラックでのボーカル)をオフにしたミックス。一部のボーカルが未使用だったのを確認できる。
『JOHN LENNON 1989』
0'34"~:Wトラック・ボーカル
0'55":メインの"you didn't want"がオフ
2'30"~2'34":メインの"(child)ren, don't do."がオフ
比較音源 take 64 & 93
0'03"~:セカンド(メイン)・ボーカルのみ
0'03"~:ベースにエンハンサー
2'23":"fuck me"
take 64 & 93
0'03"~:セカンド(メイン)・ボーカルのみ
0'03"~:ベースが大きめ
2'23":"fuck me"
比較音源 Disc 1(remix)
0'33"~:Wトラック・ボーカル
0'53"~0'57":メインの"you didn't want me"がオフ
2'28"~2'32":メインの"(child)ren, don't do."がオフ
4'09"~:ピアノの余韻

その他の‘Mother’

Hold On

レコーディングは9/30に行われているが、第1~6テイクは9/27のテープの後半に録音されている。そのテープボックスのメモにはタイトルが"HOLD ON JOHN"となっている。その後、完成テイクを含む9/30のテープボックス(第21~32テイク)で"HOLD ON, JOHN"とマイナーチェンジしているが、最終的には"JOHN"が取り除かれることになる。

2000版のステレオ音像はオリジナル(1989版)の左右のボーカルをセンターに寄せている以外は同じ。
2021版はほぼオリジナル(1989版)に準じている。
‘Hold On’
聴き比べ表
JOHN LENNON 1989
JOHN LENNON 2000
JOHN LENNON 2021
Disc 1
0'00"
0'00"

0'00"~:ドラムスにテープ・エコー
0'00"

~0'02":ギターが4音早く始まる
0'06"~:ベースとキックを強調
0'12"~:ボーカルにエコー、Wトラックの主従バランスが逆
0'00"

0'00"~:ギターをやや抑え気味
0'00"~:ドラムスにディレイ
0'30"
0'30"
0'30"
0'30"
1'00"
1'00"
1'00"
1'00"

1'00":ブレス音(1拍目裏)をカット
1'30"
1'30"
1'30"
1'30"

『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2000』
『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』
『JOHN LENNON 2000』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』

4-02 Hold On (take 32)
比較音源を用意するまでもなく、オリジナル(1989版)の右チャンネルと同等(ベースだけ大きめ)のミックスとなっている。
その他の‘Hold On’

I Found Out

9/27に全7テイクが録音されているが、ベストとなったのは第3テイクである。概要で述べた通り、この日からドラムスはステレオ録音となっている。

オリジナル(1989版)ではボーカルとギターのカッティング(1'54"~2'05")にテープエコー(88ミリ秒のディレイ、ディレイ音の方が大きい)を掛けている。

2000版はディレイ時間が89ミリ秒と同程度であるものの、ディレイ音が4割程度と小さいためボーカル・バランスが全く異なって聴こえる。また、ギターのディレイは全体を通して掛かっているため後半5小節(1'54"~2'05")でのメリハリは無い。

2021版オリジナル(1989版)に準じているが、ディレイ時間が84ミリ秒と若干早く、ディレイ音が8割程度と微妙な改善となっている。そのため、ある意味で一般的ではあるがビートルズらしくない現代的な設定によるニュアンスの違いがある。
‘I Found Out’
聴き比べ表
JOHN LENNON 1989
JOHN LENNON 2000
JOHN LENNON 2021
Disc 1
0'00"
0'00"

0'00"~:ボーカルにディレイ(ディレイ音が大きいので主従バランスが逆)
0'00"

0'00"~:ボーカルとギターにディレイ(ディレイ音は小さい)
0'00"

0'00"~:ボーカルにディレイ(ディレイ音は大きめ)
0'30"
0'30"
0'30"
0'30"
1'00"
1'00"
1'00"
1'00"
1'30"
1'30"

1'54"~2'05":ギターにディレイ(後半の5小節)
1'30"
1'30"

1'54"~2'05":ギターにディレイ(後半の5小節)
1'00"
2'00"
2'00"
2'00"
1'30"
2'30"
2'30"
2'30"
3'00"
3'00"

3'16":編集跡(4拍目)
3'00"
3'00"

『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2000』
『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』
『JOHN LENNON 2000』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』

4-03 I Found Out (take 3 EXT)
ボーカルとギターのディレイ音が無く、フェイドアウト以降も延々と最後まで収録されている。これによりフェイドアウトさせたのは直後からカール・パーキンスの‘Gone Gone Gone’を歌い始めたためであるのが分かる。
なお、ブックレットにはオリジナル・ミックス(1989版)の"Just keep you crazy with nothing to do"をオーバーダブしたボーカルで差し替えた旨が記載されているが、本アウトテイクの同箇所と同じボーカルであり真相は謎である。
『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 4』

3-03 I Found Out (feat. conga)
第3テイクのサビに入っているコンガを活かしたロング・バージョン。
2021版リミックスのディレイの設定をそのままに、ボーカルには最後まで使い、ギターには使っていない。

その他の‘I Found Out’

Working Class Hero

曲紹介
9/27にレコーディングが行われて一旦は完成と見なされていたが、10/25になってからヴァースが追加されている。

ベーシック・トラック録音後に追加されたのは第3ヴァースであるが、マスターテープに追加で挿入したのではなく、ミキシング時に編集して拡張するのを前提として空きトラックに録音している。
しかも、それに続く"working ~ be"×2回は追加録音したものを使わないで第2ヴァースのものをコピペしている。

以下の同期音源は、左が第3ヴァース、右が第2ヴァースの"working ~ be"部分のタイミングを合わせたものです。

『JOHN LENNON 1989』で確認する
『JOHN LENNON 2000』で確認する(このバージョンだけ1拍ずれてコピペしている!
『JOHN LENNON 2021 Disc 1』で確認する
ブックレットによるとリリース版は編集により第3ヴァースが追加されている。 その説明は難解になっているが、音で検証すると下図の通りである。
編集前~0'45"2nd verse"working ~ be"×21'24"~
編集後~0'45"2nd verse"working ~ be"×2added verse"working ~ be"×22'05"~
第3ヴァースのテンポが第4ヴァース(本来の第3ヴァース)と同じであることから第9テイクは以下のテープ構成と推察される。
Tr.5の"working ~ be"が何回歌われているかは定かではないが、少なくともadded verse直前にある「ハンマリングをしているE音」は使われている。ちなみにこのE音はミレニアム・バージョンでは使われていない。
Tr.1-3
Tr.6-8
~1st verse2nd verse3rd verse4th verse ~
verse"working ~ be"×2E音
Tr.4&5"working ~ be"×2E音added verse"working ~ be"×2E音
以上からミレニアム・バージョンの特徴となっているのは下図の通りである。
2000版~0'45"2nd verse"working ~ be"×2E音added verse"working ~ be"×2E音2'05"~
その他~0'45"2nd verse"working ~ be"×2E音added verse"working ~ be"×2E音2'05"~

音の過不足は2000版の1'24"にあるハンマリングするE音だけで、ボーカルもギターもオーバーダブした音を使ったWトラックでは無いと思われる(全てのバージョンで差し替えた可能性は排除できない)。

"added verse"の挿入は全て「ハンマリングするE音の前」のタイミングで行われており、唯一、2000版だけが例外となっている。

2021版は2000版よりもボーカルにコンプレッサーを強めに掛けているようである。所々でボーカルが抑えられているのを確認できる。

オリジナル(1989版)にはこの編集作業とは関係の無いミキシング上の編集跡をいくつか確認できるが、特に目的を推察できる内容ではない。
逆にリミックス(2021版と2000版)では構成検討などが不要であるため、1'44"で第2ヴァースの"working ~ be"を使うついでに最後まで連続して合理的なミキシングをしているのが分かる。
‘Working Class Hero’
聴き比べ表
JOHN LENNON 1989
JOHN LENNON 2000
JOHN LENNON 2021
Disc 1
0'00"
Intro
Intro

0'02":編集跡(ハンマリングするE音の
Intro
0'05"
1st verse
1st verse
1st verse
0'45"

1'09"~1'21":"working ~ be"×2
2nd verse

1'24":編集跡(ハンマリングするE音の前)
2nd verse

1'24":ハンマリングするE音が別テイク
1'24":編集跡(ハンマリングするE音の
2nd verse

1'24":編集跡(ハンマリングするE音の前)
1'25"

1'48"~1'59":"working ~ be"×2
3rd verse

1'40":編集跡(ハンマリングするE音の前)
1'44":編集跡(ハンマリングするE音の前)
2'03":編集跡(ハンマリングするE音の前)
3rd verse

1'44":編集跡(ハンマリングするE音の前)
3rd verse

1'44":編集跡(ハンマリングするE音の前)
2'04"
4th verse
4th verse
4th verse
2'44"
5th verse

3'02":編集跡("on the hill"の前)
3'39":編集跡(ギターコードの前)
5th verse
5th verse

『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2000』
『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』
『JOHN LENNON 2000』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』

3-04 Working Class Hero (unedited)
4-04 Working Class Hero (take 9)
『2021 Disc 4』
~0'17":練習&会話
0'17":イントロ
0'21":1st verse
1'01":2nd verse
1'41":added verse
2'21":4th(元3rd) verse
3'01":5th(元4th) verse
比較音源
~0'17":練習&会話
0'17":イントロ
0'21":1st verse
1'01":2nd verse
1'41":added verse
2'21":4th(元3rd) verse
3'01":5th(元4th) verse
『2021 Disc 3』

0'00":イントロ
0'05":1st verse
0'45":2nd verse
1'24":3rd verse
2'04":4th verse

その他の‘Working Class Hero’

Isolation

比較音源で顕著なのはベースがダブル・トラックとなっている点である。とは言え、ベースは1トラックしか録音されていない事も明示されているので、最初の演奏がドラムス用トラックに混じって残っており、クラウスが後で差し替えたものが本来のベースとみるのが妥当だろう。

オリジナル(1989版)と2021版はほぼ同じミックスとなっている。特徴的な違いは、ピアノとドラムスを基準として1989版ではベースが大きめ、2021版はボーカルが大きめな点である。
また、サビ終わりでブレイクする際、1989版では1回目のサビでピアノのリバーブが大きくなっているが、2021版では最後のブレイク部分でリバーブが大きくなっている。

2000版はAメロに入ってからピアノが大きくなる他、ボーカル・トラックの使い方が異質になっている。ボーカルは(他のバージョンにくらべて)単語単位に音量が変化しているが、恐らくこの解釈は逆だろう。ジョンは強弱を付けた歌唱をしており、"(i)solation"が最も大きくなるように歌っている。2000版は音質重視のための加工で強弱が均一化されてしまい、本末転倒な状態になったと推察される。
なお、敢えて明記していないがサビのWトラックの効果は微妙に異なっている。
‘Isolation’
聴き比べ表
JOHN LENNON 1989
JOHN LENNON 2000
JOHN LENNON 2021
Disc 1
0'00"
0'00"

0'12"~:ベースが大きめ
0'00"

0'13":編集跡(ボーカルの直前)
0'13"~:ピアノが大きめ
0'13"~0'22":"People ~ i(solation)"が大きめ
0'00"

0'12"~:ボーカルが大きめ
0'30"
0'30"
0'30"

0'34"~0'38":"everybody ~ i(solation)"が大きめ
0'46"~0'54":"Just ~ i(solation)"が大きめ
0'30"
1'00"
1'00"

1'24":ピアノのリバーブが大きめ
1'00"

1'05":"little town"が大きめ
1'15":"i i i"が大きめ
1'00"
1'30"
1'30"
1'30"
1'30"
2'00"
2'00"
2'00"

2'11"~2'24":"We're ~ isolation"が大きめ
2'27"~2'34":"The ~ (disappear) ~ years"が大きめ
2'00"
2'30"
2'30"

2'35":"I, i"がWトラック
2'43":編集跡("(I)solation"の直前)
2'43"~:ピアノが大きめ
2'30"

2'35":"I, i"がシングルトラック
2'30"

2'35":"I, i"がWトラック
2'47":ピアノのリバーブが大きめ

『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2000』
『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』
『JOHN LENNON 2000』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』

4-05 Isolation (take 29)
ボーカルがシングル・トラックであるため、サビでWトラックとなる箇所を分離した状態で聴くことができる。
また、オリジナル(1989版)のブレイク部分でオルガンのみとなる箇所は、カットされていたピアノが使われている。
『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 4』
0'00":イントロ 0'05":深呼吸
0'12":1st verse
0'13"~:ボーカルが大きめ
0'29":2nd verse
0'46":3rd verse
1'19"~2'04":"(I)solation ~ insane"がWトラック
1'03":4th verse
1'59"~2'05":ピアノとベースをカット
1'28":middle
1'59"~2'06":ピアノとベースをON、オルガンはOFF気味
2'34"~2'48":"I ~ isolation"がWトラック
2'11":5th verse

3-05 Isolation (alternate organ, piano off)
ボーカルはオリジナル(1989版)と同じであるがサビでは歌い出し直前のブレス音がカットされないで残っている。
タイトルに補足されている通り、ピアノをオフにしてオルガンの別テイクをメインとしている他、ベースはディレイ音が加わらないドライな音となっている。
『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 3』
0'00":イントロ -0'08"~0'00":(カット)
0'00"~:異なるオルガン、ピアノはOFF
0'12"~:ベースにディレイ(原音より大きめ)
0'12":1st verse
ボーカルは過不足なし
0'04"~:ベースが大きめ
0'29":2nd verse
0'46":3rd verse
1'03":4th verse
1'28":middle
1'27"~1'46":歌い出しのブレス音("after ~ A (victim)")
2'11":5th verse

その他の‘Isolation’

Remember

曲紹介
ピアノ・パートが、ビートルズの‘Something’テイク37(69年4月)のリフレインとして演奏されていたのは有名な事実。

"remember"を繰り返すエンディングはスタジオでのレコーディング中に作ったもので、ジョンによるとFrankie Laine風(‘Remember Me’[YouTube]という曲もあるが‘Rawhide’の方が近いかも)に歌っている。
そこからイギリスではお馴染みのGuy Fawkes' Day(火薬陰謀事件の日)に繋がり、典型的な一節 "Remember, remember, the fifth of November, (Gunpowder Treason and Plot)" が歌詞として引用されている。
最後の爆発音はガイ・フォークスが失敗した爆破のパロディになっている。

全13テイクが録音されて Take13 がBEST となるが、テンポが速かったらしく「49・1/4 c/s(Hz)で再生」するようにメモしている。
リリース版に使われた第3テイクはテンポが遅く、ピアノの音程から察するに「50・3/4 c/s(Hz)で再生」したものだろう。
各バージョンを標準速度で再生

ガイ・フォークス・デイ(火薬陰謀事件の日)は毎年11月5日に行われるイギリスの記念日で、その夜(ガイ・フォークス・ナイト)は焚き火の夜、花火の夜としても知られている。由来は1605年11月5日の爆破未遂事件まで遡る。当時のイングランド王のジェームズ1世を暗殺してカトリックの国家元首に置き換えようと英国カトリック教徒が画策し、議事堂の地下で爆薬をしかけて待機していた。しかし火薬陰謀事件は未遂に終わり、ジェームズ1世が無事に生き延びたのを祝って人々はロンドンで焚き火をともしたのが起源となっている。
この時に逮捕されたメンバーの一人がガイ・フォークスである。

ちなみに Frankie Laine は1976年に‘Maxwell's Silver Hammer’[YouTube]をカバーしている。
第1テイクは70/10/7の‘GOD’の合間(第12テイクの次)に録音されている。
70/10/9に改めて第1テイクから録音が始まり、第12テイクの次には‘OH YOKO!’が1テイクだけ録音されている。収録予定ではない曲を誕生日に録音しているのは何かしら意図があったのかも知れない。 その次の第13テイクがBESTとなるがオーバーダブが加えられるのは第3テイク(の前半)となっている。

ブックレットに記載された"Jew's Harp"はテープボックスに記載されたメモ"JAW HARP"の別名。0'09"頃にビヨ~ンと鳴っている音えだるが、ほぼカットされている。

オリジナル(1989版)はディレイ音の方が大きいというビートルズ風の使い方になっているが、2021版にはディレイが掛かっているものの小さめとなっている。
2000版ではベースにディレイは掛かってなく、単純に音量を上げていると思われる。2000版の特徴はメイン・ボーカルを逆にしている点で、3'33"の"mad"の余韻部分などが比較的に判別しやすい。

最後の爆発音は別テープのものを繋いでいるが、2000版は0.1秒ほど早く始まっている。ちなみに爆発音の終端は同じなので、元のテープ自体もここまででカットしていると推察される。
‘Remember’
聴き比べ表
JOHN LENNON 1989
JOHN LENNON 2000
JOHN LENNON 2021
Disc 1
0'00"
0'00"

0'00"~:ベースとスネアにディレイ
0'13"~:ボーカルにディレイ
(以上はいずれもディレイ音が大きめ)
0'00"

0'00"~:ベースが大きめ、スネアにディレイ
0'13"~:メイン・ボーカルが逆
0'00"

0'00"~:ベースとスネアにディレイ
0'13"~:ボーカルにディレイ
0'30"
0'30"
0'30"
0'30"
1'00"
1'00"
1'00"
1'00"
1'30"
1'30"
1'30"
1'30"
2'00"
2'00"
2'00"
2'00"
2'30"
2'30"
2'30"
2'30"
3'00"
3'00"
3'00"
3'00"
3'30"
3'30"
3'30"
3'30"
4'00"
4'00"

4'30":編集跡(爆発音の直前)
4'00"

4'30":編集跡(爆発音が0.1秒ほど早く始まる)
4'00"

4'30":編集跡(爆発音の直前)

『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2000』
『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』
『JOHN LENNON 2000』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』

3-06 Remember (Triple-tracked vocal, JAW HARP)
オリジナル(1989版)が爆発音で終わる箇所まではピアノがカットされており、それ以降はピアノ付きのフル・エンディングとなっている。レコーディング・シートには8'10"と記載されているが、実際にはベースが延々と続いて8'30"くらいの長さになっている。

セカンド・ボーカルが全てミックスされているが、比較音源ではこれを分離して聴くことができる。
それによると、2'00"で"Don't you"にコーラス(上側にハモリ)が付いているのはセカンド・ボーカルで、サビではハーモニー・パートを歌っているのが分かる。

『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 3』
0'00"~4'29":ピアノ
0'00"~:ベースとボーカルにディレイ
4'29":爆発音
0'00"~:ドラムスに左右で異なるディレイ
0'00"~0'13":ベースが大きめ
0'13"~:セカンド・ボーカル、JAW HARP
2'00":"Don't you"にコーラス
4'29"~7'52":ピアノ
8'35":演奏終了

2-06 Remember (rehearsal 1)
4-06 Remember (take 13)
5-06 Remember (evolution)
6-28 Remember (10/9 スタジオ・デモ)

Love

曲紹介
当初のタイトルは‘LOVE IS REAL’であったが、70/10/19に斜線の訂正入りで‘LOVE’となっている。

全40テイクを録音しているが、第12~13テイクが重複しているため、実質的に第38テイクがラストとなる。リリース版に使われてたのはその手前の第37テイクである。
なお、レコーディングでは第37テイクを終えると直ぐに第38テイクが始まっており、そのイントロのピアノがエンディングのリフレイン扱いで使われている。

トラック8に録音した最初のボーカルがそのままメイン・ボーカルとなり、追加したトラック7のボーカルは「" LOVE IS FREE"だけ使う」という指示がテープボックスにメモされている。

2021版リミックスは「オリジナルに忠実」を基本としていると思われる。しかし、それであるが故に、その差異がジョンの方針を浮かび上がらせる。

ジョンの狙いでは、イントロは極限までのピアニシシモ(ppp)からのゆっくりしたクレッシェンドになっている。0'32"に編集跡を確認できることから、リミックス後に差し替えたもののようである。2000版はそれより若干大きめのピアニシモ(pp)で始まるがほぼ同じニュアンスになっている。2021版リミックスは論外で、メゾピアノ(mp)くらいからの極普通のフェードインである。
補足:mp > p(ピアノ) > pp > ppp

ボーカルはシングル・トラックでスタートするが"Love is feeling"辺りを目標にセカンド・ボーカルの音量が上がってWトラックとなる。サビの前半で一旦はシングル・トラック気味に戻り、後半をWトラックにするという変化を付けている。
2000版はほぼオリジナルに準拠しているが、唯一、歌い出しのブレス音だけはカットしている。
2021版ではAメロは全てシングル・トラックのままで、サビの前半だけWトラックという大雑把なミキシングになっている。

‘Love’
聴き比べ表
JOHN LENNON 1989
JOHN LENNON 2000
JOHN LENNON 2021
Disc 1
0'00"
0'00"

0'00"~0'32":ピアノが極めて小さめ
0'00"

0'00"~0'32":ピアノが小さめ
0'00"

0'00"~0'32":ピアノが大きめ
0'30"
0'30"

0'32":編集跡
0'36"~0'43":"Love is real, real is (love)"がシングルトラック
0'43"~:"(real is) love"以降がWトラック
0'45":編集跡(3拍目)
0'48":編集跡(3拍目)
0'30"

0'36"~:ボーカルはオリジナルに準拠(ブレス音はカット)
0'30"

0'36"~:ボーカルはシングルトラック
1'00"
1'00"
1'00"
1'00"
1'30"
1'30"
1'30"
1'30"

1'48"~1'55":"Love is you, you and me"だけWトラック
2'00"
2'00"
2'00"
2'00"
2'30"
2'30"

2'44":編集跡
ピアノ・コードをカットして第38テイクに繋いでいる
2'30"

2'44":編集跡
(オリジナルに準拠)
2'30"

2'44":第37テイクのピアノ・コードと第38テイクがクロスフェード
3'00"
3'00"
3'00"
3'00"

『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2000』
『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』
『JOHN LENNON 2000』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』

3-07 Love (W-tracked vocal)
最初から最後までピアノをオフにして、ボーカルをWトラックにしたミックス。なお、2021版リミックスではセカンド・ボーカルがほとんどオフになっているが、ここではエコー付きで目立つようになっている。
ただし、エンディング後にリフレインとして始まるピアノは第38テイクではなく、2021版リミックス用のピアノ・トラックを抜き出したもの。何故これを付加したのか定かではないが、ピアノをコピーしたい方には好都合となっている。
また、このピアノ・トラックにより、第38テイクのピアノがエンディングと重なるように付加されているのを明瞭に確認できる。
『JOHN LENNON 2021 Disc 1』 比較音源
前半を同期
『JOHN LENNON 2021 Disc 3』
『JOHN LENNON 2021 Disc 1』 比較音源
後半を同期
『JOHN LENNON 2021 Disc 3』

4-07 Love (take 37 EXT)
第38テイクが全て収録されている。フィル・スペクターがピアノを弾き始めたものの、ジョンは第37テイクで満足していたために制止する会話を聞くことができる。
『JOHN LENNON 2021 Disc 1』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 4』

2-07 Love (take 6)
5-07 Love (evolution)
6-29 Love (カセット・デモ)

Well Well Well

第4テイクがリリース版に使われているが、その3番目のヴァース(1番と同じ歌詞)はリリース版ではカットされている。編集ポイントはヴァース直前の小節で4拍目のギターコードが鳴る直前(オリジナル)であるが、2021版リミックスでは鳴り終わった直後の4拍目裏のハイハットからエンディングに繋いでいる。
2000版は続く小節の1拍目での編集となっているため、各バージョンで微妙に異なっている。

ボーカルとベースとドラムスに長めのディレイが掛かっているが、オリジナルではボーカルには88ミリ秒、ベースとドラムスには107ミリ秒と試行錯誤したらしき様子が窺える上、ディレイ音が大きめというビートルズ時代の音創りを引き継いでいる。さらに言えば、ボーカルにはADT,その他にディレイ装置を使った可能性も考えられる。
2000版リミックスのディレイ時間は全て97ミリ秒とザックリしており(ボーカルのディレイは小さくてシングルトラック気味)、2021版リミックスは更にギターも加わりディレイ時間はやはり全て同じで101ミリ秒と遅めになっている。

ジョンが"such a nice beginning"と言っているにも関わらず2000版はイントロの最初の6音を後続の演奏と差し替えている。

‘Well Well Well’
聴き比べ表
JOHN LENNON 1989
JOHN LENNON 2000
JOHN LENNON 2021
Disc 1
0'00"
0'00"

0'03"~:ベースとドラムスに107msのディレイ
0'24"~:ボーカルに88msのディレイ(大きめ)
0'00"

0'00"~0'02":ギターの最初の6音は繰り返し(0'13")部分のコピペ(⇒比較音源

0'03"~:ボーカル(小さめ)、ベースとドラムスに97msのディレイ
0'00"

0'00"~:ボーカル、ギター、ベースとドラムスに101msのディレイ
3'00"
3'00"

3'34":編集跡
3'00"
3'00"
4'00"
4'00"

4'09":編集跡(4拍目表)
4'00"

4'10":編集跡(1拍目表)、直前の4拍目裏のハイハットが別テイク
4'00"

4'09":編集跡(4拍目裏)、4拍目のギターコードが別テイク

『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2000』
『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』
『JOHN LENNON 2000』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』

3-08 Well Well Well (feat. maracas)
マラカスの未使用パートを全てミックスしたショート・バージョン(通常サイズ)。
ボーカルにディレイが掛かっている以外はドライな状態でミックスされている。

『JOHN LENNON 2021 Disc 4』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 3』
~ 0'05":会話 0'03" ~:マラカス
0'24" ~:ボーカルにディレイ
4'14" ~ 4'52":未使用ヴァース 4'14":編集ポイント(始)
4'52":編集ポイント(終)
4'09":(4拍目裏で編集してカット)
5'35":ギターノイズ
6'39" ~:会話 5'54":F.O.

4-08 Well Well Well (take 4 EXT)
カットしたヴァース(3番目のヴァース)を含む編集前の状態で、各パートはディレイの掛からないドライな音になっている。
従って、このバージョンと比較すれば各リミックスの特徴をつかみやすい。

また、5'35"でギターノイズ(2弦のブリッジ外側を引っ掛けたような音)がリリース版ではカットされているのを確認できる。

『JOHN LENNON 2021 Disc 4』 比較音源 『JOHN LENNON 1989』
~ 0'05":会話 0'03"~:ベースとドラムスにディレイ
0'24"~:ボーカルにディレイ
3'34":編集跡
4'14" ~ 4'52":未使用ヴァース 4'14":編集ポイント(始)
4'52":編集ポイント(終)
4'09":(4拍目で編集してカット)
5'35":ギターノイズ
6'39" ~:会話 5'54":F.O.

『JOHN LENNON 2021 Disc 4』 比較音源 『JOHN LENNON 2000』
~ 0'05":会話 0'03"~:ベースとドラムスにディレイ
0'24"~:ボーカルにディレイ
4'14" ~ 4'52":未使用ヴァース 4'14":編集ポイント(始)
4'52":編集ポイント(終)
4'10":(1拍目表で編集してカット)
5'35":ギターノイズ
6'39" ~:会話 5'54":F.O.

『JOHN LENNON 2021 Disc 4』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』
~ 0'05":会話 0'03"~:ベースとドラムスにディレイ
0'24"~:ボーカルとギターにディレイ
4'14" ~ 4'52":未使用ヴァース 4'14":編集ポイント(始)
4'52":編集ポイント(終)
4'09":(4拍目で編集してカット)
5'35":ギターノイズ
6'39" ~:会話 5'54":F.O.

2-08 Well Well Well (take 2)
5-08 Well Well Well (evolution)
6-30 Well Well Well (カセット・デモ)

Look At Me

曲紹介
ホワイトアルバムではお馴染みのインド滞在中にマスターしたアルペジオを使っているが、当時は5弦をベース音としていたのに対して、ここでは本来のルートがベース音になっている。
ジョンは3本目のギターを録音しているが、メインとなるのはアコースティック・ギターで、エレキギター(アンプを通したアコースティック・ギター)はその響きを補強するように追加されている。
さらに下表で「3番目のギター」と記しているのは「ベースライン中心に弾くギター」を意味する。この3番目のギターが2000版では小さめになっている。
2021版はオリジナル(1989版)とほぼ同じバランスになっているが、2000版は一部をタイミング補正しているのが特徴となっている。同箇所を他のバージョンで聴くと(1989版2021版)かなり違和感のあるズレを感じることができる。
‘Look At Me’
聴き比べ表
JOHN LENNON 1989
JOHN LENNON 2000
JOHN LENNON 2021
Disc 1
0'00"
0'00"

0'01":"Yes, thank you"が小さい
0'02"~:ギターが大きめ
0'00"

0'01":"Yes, thank you"が大きい&直後のギターノイズをカット
0'30"~:3番目のギターをカット(あるいはオフ気味)
1'28"~1'31":アコースティック・ギターをタイミング補正
2'12":"who"のタイミングのギターノイズを軽減
0'00"

0'01":"Yes, thank you"が大きい&直後のギターノイズは残している
0'02"~:3番目のギターが大きめ

『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2000』
『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』
『JOHN LENNON 2000』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』

3-09 Look At Me (Single vocal & acc. guitar)
ボーカルの一方とアコースティック・ギターだけの演奏が収録されている。
以下のいずれの比較音源でも、もう一つのボーカルが左側に分離された状態で聴くことができる。
なお、2000版では1'28"~1'31"でアコースティック・ギターのタイミング補正を行っているため、比較音源でギターだけ一致しない状態を確認できる。

『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 3』
『JOHN LENNON 2000』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 3』
『JOHN LENNON 2021 Disc 1』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 3』

4-09 Look At Me (take 9)
3-09 Look At Me (Single vocal & acc. guitar)とは異なるボーカルとエレキギターがメインで、フェードアウト以降もやや長めにミックスされている。
以下の比較音源により各パートの定位が分離しており、左からセンターにかけて、
[VocalⅡ&EGⅡ]-[AG]-[VocalⅠ&EGⅠ]
の状態で聴くことができる。
『JOHN LENNON 2021 Disc 1』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 4』

2-09 Look At Me (take 2)
5-09 Look At Me (evolution)
6-31 Look At Me (カセット・デモ)

God

曲紹介
レコーディング記録ではタイトルが"GOD (THE DREAM IS OVER)"となっており、2'36"を境に2曲を繋いだものと思われる。
10/7にスタートしたレコーディングではジョンはアコースティック・ギターを弾いていた。この状態で第11テイクまで進むが、ピアノの方が良いと判断して第20テイクまで録音している。
※サウンド面だけでなく、歌詞に"I don't believe in giutar."とあるのも影響しているように思える。
そこでセカンド・ピアニストの必要を感じてビリー・プレストンにも参加を要請することになる。

10/9、ビリー・プレストンも加わってレコーディングを再開するが、実際に到着する前にクラウス・フォアマンが代役となって3テイク(第21テイクから第23テイク)を試している。
ビリーも加わった正式レコーディングで第42テイクがベストとなっている。

カセット・デモではKey C (Capo4)の演奏となっており、サビ("I don't believe in ~")は Am - Am/F - Am/G - Am と進行しているが、第1テイクではカポ無しのKey Cでサビ部分もベースラインはクラウス・フォアマンに任せて Am - F - 開放弦 - Am とジョンらしい弾き方になっている。
ちなみに最終的なピアノの演奏ではキーを上げて Em - C - D - Em になっている。
ジョンは3種類のボーカル録音を行っているが、最初のガイド・ボーカルは後半部分を使用、オーバーダブのボーカルで前半を追加、2回目のオーバーダブで"I don't believe (in magic)"と"dream weaver"を差し替え用に歌い直している。この内、2021版リミックスでは"dream weaver"を差し替え損ねている(あるいは意図的)。
2021版は最初の"(God) is a concept"第2ヴァースのものに差し替えている。
1回目(左)と2回目(右)を重ねた音源

オリジナルでは前半部分と後半の"dream is over"以降にディレイが掛かっているが、"dream is over"だけは別のディレイも加わったかのように強調されている。この辺りにジョンの何らかの意図が隠されていると思われる。
2000版のディレイは控えめな音量となっているが、前半最後の"beatles"と歌う部分は強調している。
2021版はオリジナルと同じディレイが同じ範囲でより大きく加わっているが、"dream is over"のような傾向は無い。

ベースの処理は技術革新と共に変化しており、オリジナルでは単純にボリュームを上げているが、2000版、2021版となるにつれて音量は下げつつもベースの存在感は維持している。

‘God’
聴き比べ表
JOHN LENNON 1989
JOHN LENNON 2000
JOHN LENNON 2021
Disc 1
0'00"
GOD
0'00"

0'00"~:ベースが大きめ
0'15"~2'33":ボーカルにディレイ
2'29":編集跡(1拍目)
0'00"

0'00"~:ドラムスが大きめ
0'15"~2'33":ボーカルにディレイ
2'31"~2'33":"beatles"を強調
0'00"

0'00"~:ベースが控えめ
0'15"~~2'33":ボーカルにディレイ
0'16":"is a concept"を差し替え
2'36"
THE DREAM IS OVER
2'36"

2'53"~:"dream is over"からディレイ
2'53":"dream is over"を強調
3'21":"dream weaver"を差し替え
2'36"

2'53"~:"dream is over"からディレイ
3'21":"dream weaver"を差し替え
2'36"

2'53"~:"dream is over"からディレイ
3'21":"dream weaver"がガイド・ボーカル

『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2000』
『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』
『JOHN LENNON 2000』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』

3-10 God (guide vocal)
ビリー・プレストンのピアノとリンゴのドラムスをバックにしたジョンのガイド・ボーカルが収録されている。ジョンは先ずピアノ演奏を優先していたらしく前半は語り口調で歌詞を追っているだけであるが、後半の"dream is over"以降は真剣に歌っており、そのままリリース用ボーカルとなっている。
なお、"dream weaver"(3'21")が2021版のものと同じであることから、2021版リミックスでは差し替え忘れていると推察される。
『JOHN LENNON 2021 Disc 1』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 3』
0'00"

0'00"~:ベース、ジョンのピアノ
0'14"~:ボーカルにディレイ
0'00"

0'00"~:ドラムスとビリー・プレストンのピアノが共通
0'00"

0'14"~:ボーカルにリバーブ
0'14"~2'36":ガイド・ボーカル
2'36"

2'36"~:リリース版のボーカル
2'36"

2'53"~:"dream is over"以降が共通
3'21":"dream weaver"も同じ
2'36"

2'36"~2'53":ガイド・ボーカル
2'53"~:リリース版のボーカル

4-10 God (take 42)
リリース用テイクの前後も含めて収録されているが、"(God) is a concept"と"I don't believe (in magic)"が別テイクになっている。前者は前述の通り2021版のコピペ差し替えであるが、後者はリリース用ミキシングではここだけを3番目のボーカル・トラック(トラック1)のものに差し替えたのだろう。
『JOHN LENNON 2021 Disc 4』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』
0'00"

0'00"~0'08":会話
0'22"~:ボーカルのブレス音
0'24":"(God) is a concept"が別テイク
1'11":"I don't believe (in magic)"が別テイク
0'00"

0'08"~:演奏は同じ
0'24":ボーカルが不一致
1'11":ボーカルが不一致
0'00"

0'14"~:ボーカルにディレイ
0'15":"God is a concept"
1'03":"I don't believe in magic"
2'36"

4'19"~:会話
2'36"

2'36"~:演奏とボーカルは同じ
2'36"


2-10 God (take 27)
4-17 God (take 1)
5-10 God (evolution)
6-32 God (カセット・デモ)

My Mummy's Dead

元がカセット・デモなので各バージョンの顕著な差は無い。


『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2000』
『JOHN LENNON 1989』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』
『JOHN LENNON 2000』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』

2-11 My Mummy's Dead ( take 2)
6-33 My Mummy's Dead (カセット・デモ)
唯一の別テイクである。
Disc6が半音弱ピッチが高いが(速度差で5%)、この2つは同一のもの。
以下の比較音源でDisc2の方は低音をカットしているのが分かる。

『JOHN LENNON 2021 Disc 2』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 6』

3-11 My Mummy's Dead (without radio effect)
最初の2音だけ異なるが(理由は後述)、リリース・バージョンと同じカセット・デモ音源である。
カセットテープに由来する回転ムラやピッチのズレが顕著になっている。

『JOHN LENNON 2021 Disc 1』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 3』

3-11 My Mummy's Dead (without radio effect)
4-11 My Mummy's Dead ( take 1)
5-11 My Mummy's Dead (evolution)
Disc5は最初にジョンのインタビューが付け足されているため長くなっている。以下の音源はそれを基準に比べている。
Disc3は半音弱ピッチが高いが(速度差で5%)、同じテイクの趣向を変えて収録しているだけである。
いずれもイントロの2音をコピペした模造品で、同一内容ではあるが編集作業は別のようである(後述)。

『JOHN LENNON 2021 Disc 5』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 3』
『JOHN LENNON 2021 Disc 5』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 4』
リリース版とは別テイクの印象を与えているが、実際にはイントロの2音を直後のものと差し替えただけである。
1回目(左)と2回目(右)を重ねた音源(Disc4を使用)





Plastic Ono Band 誕生
67年(ジョンと一緒になる前)にヨーコはベルリンでのショーに招待されている。そこでは人間がバンドメンバーではなく、楽器を演奏する機械やロボットの入ったプラスティック箱が役割を担うというコンセプトを具現化していた。

翌68年、この話を聞いたジョンがそれを再現してみせながら、2人のバンド名を「Plastic Ono Band」と呼ぼうと命名している。つまり、この構想はホワイト・アルバム頃には出来上がっていたようだ。

そして具体化したのは翌69年、モントリオールで録音した‘Give Peace A Chance’に白羽の矢が立つ。この録音にはジョン&ヨーコ以外も多数が参加しており、正に「Plastic Ono Band」構想に合致していた。

Give Peace A Chance

Element Mix(ホテルでの録音のみ)との比較で、追加録音を明瞭に分離させて聴くことができる。
『JOHN LENNON 2021 Disc 1』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 3』
0'00"

0'00"~:追加録音
0'00"

0'00"~:ホテルでの録音
0'00"


4-12 Give Peace A Chance (take 4 extend)
リリース・バージョンは以下の編集を施したショート・バージョンになっている。
また、その差分からパーカッションと一方のアコースティック・ギターに14.77ミリ秒のディレイが掛かっているのが分かる。
『JOHN LENNON 2021 Disc 4』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』
0'00"~1'23":"one two ~"
0'00"
0'00":"two ~"
0'02"~:パーカッションにディレイ
1'23":"All we ~"前が2拍多い
1'23"
1'22":2拍をカット
1'24"~2'04":"All" ~ "is"
1'24"
1'22":"All" ~ "is"
2'04"~2'49":"give" ~ "is"
1'24"
2'02":45秒をカット
2'49"~4'49":"give" ~ "(All)"
2'49"
2'02":"give" ~ "(All)"
3'48":"come together and all together"
4'49"~5'01":"All" ~ "(All)"
4'49"
4'02":12秒をカット
5'01"~5'24":"All" ~ "(All)"
5'01"
4'02":"All" ~ "(All)"
4'05":"We can get it tomorrow, today"
5'24":"All we are say(ing)"
5'24"
4'25":"All we are say(ing)"
5'26"~5'58":"(say)ing" ~ "(All)"
5'26"
4'28":35秒をカット
5'58":"All we are say(ing)"
5'58"
6'01":"(say)ing ~"
6'31":F.O.
6'01"
4'28":"(say)ing ~"
4'49":F.O.

オリジナル(リマスター版『LENNON 2010 SINGLES』を使用)との比較は下表となる。
『JOHN LENNON 2021 Disc 4』 比較音源 『LENNON 2010 SINGLES』
0'00"~1'23":"one two ~"
0'00"
0'00":"two ~"
0'02"~:パーカッションにディレイ
1'23":"All we ~"前が2拍多い
1'23"
1'22":2拍をカット
1'24"~2'04":"All" ~ "is"
1'24"
1'22":"All" ~ "is"
2'04"~2'49":"give" ~ "is"
1'24"
2'02":45秒をカット
2'49"~4'49":"give" ~ "(All)"
2'49"
2'02":"give" ~ "(All)"
3'48":"come together and all together"
4'49"~5'01":"All" ~ "(All)"
4'49"
4'02":12秒をカット
5'01"~5'24":"All" ~ "(All)"
5'01"
4'02":"All" ~ "(All)"
4'05":"We can get it tomorrow, today"
5'24""All we are say(ing)"
5'24"
4'25":35秒をカット
5'26"~5'58":"say(ing)""(All)"
5'26"
5'58":"All we are say(ing)"
5'58"
4'25":"All we are say(ing)"
6'01":"(say)ing ~"
6'31":F.O.
6'01"
4'28":"(say)ing ~"
4'49":F.O.

1-12 Give Peace A Chance
2021版とオリジナルの主な相違はディレイ効果である。2021版は15ミリ秒遅れのパーカッションが主となっているのに対して、オリジナルではコーラスパートと19ミリ秒遅れの手拍子の方が目立っている。

2021版とオリジナルにはショート・バージョンにするための編集跡(前述)が見当たらない。2021版がよほど正確に編集してあると推察される。
ただし、オリジナルではイントロ前のカウントを試行錯誤したらしく、ここには編集跡を確認できる。この作業は最初の"2"とそれに続く"1 - 2 - 3 - 4"に分けて行われていることから、ミキシング後に"1 - 2 - 3 - 4"だけ差し替えたのだろう。
"1 - 2 - 3 - 4"の編集はカウントをWトラックとして差し替えたものと思われる。
本来のカウントとは別に、ジョンはオーバーダブの時にもカウントしている。この目的はレコーディング初心者のバンド・メンバーを指揮するためと思われ、ヴァース部分でも歌詞を朗読して流れを失わないようにしているのをアウトテイクで確認できる。
なお、4'25"の"All we are say(ing)"が別テイクになっているが、これは5'58"部分を編集位置にしているためである。
『LENNON 2010 SINGLES』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』


2-12 Give Peace A Chance (take 2)

Cold Turkey

オリジナル(リマスター版『LENNON 2010 SINGLES』を使用)との比較は下表となる。
イントロのギターとボーカル全体に掛けられているディレイの差が主となっており、オリジナルではビートルズ風にディレイ音が大きくなっているのは他の曲とも共通する特徴である。

ここでの重要なポイントは後半のスネアの有無である。
後述するDisc3との比較表の通り、スナッピーの効いたスネアは3'50"までが2拍目、そこを境に4拍目を叩くように変化している。この4拍目の音はオリジナルに含まれているが、リミックス版ではカットされている。

『LENNON 2010 SINGLES』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』


2-13 Cold Turkey (take 1)
69/9/28に再レコーディングして、翌日にミキシングした時のものが収録されている。後半に行くに従って経年劣化と思われるテープの伸縮を確認できる。
10/5に追加レコーディングが行われて完成となるが、その差分によるとドラムスとベースに変更は無い。またオルガンが入っていたのには驚かされる。この作業に先立ってフィードバック・ギターによる間奏(2'2"~2'19"、4拍目裏が編集ポイント)がカットされている。
なお、Disc3で確認できる追加スネアはいずれにも入っていない。

『JOHN LENNON 2021 Disc 2』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 4』
変更前の音
(69/9/29)
ドラムス
ベース
フィードバック・ギター
後半のボーカル(3'27"~)
変更後の音
(69/10/5)
3-13 Cold Turkey (instrumental)
Element Mix(instrumental)との比較で、ボーカル、演奏、ギターのON/OFFを明瞭に分離させて聴くことができる。
これによるとリンゴが追加したスネア(スナッピーの効いた音)は3'50"までは2拍目を叩いているが、そこを境に4拍目を叩くように変化しているのが分かる。

『JOHN LENNON 2021 Disc 1』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 3』
ボーカル
演奏
~3'50":スネア(2拍目)
3'50"~:スネア(4拍目)
随所:未使用ギター

4-13 Cold Turkey (take 2)
比較音源の面白さもさることながら、エンディングの謎解きも含まれている。
最後の逆回転ギター逆再生してみると、元々のエンディング後のアドリブを逆向きにコピペしたものであるのが分かる。

『JOHN LENNON 2021 Disc 1』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 4』
イントロのギターリフのディレイ
ボーカルのディレイ(ヴァース部分)
演奏
ベースが大きめ
ドラムスが控えめ
未使用ギター

Instant Karma! (We All Shine On)


1-14 Instant Karma! (We All Shine On)
オリジナル(リマスター版『LENNON 2010 SINGLES』を使用)との比較は下表となる。この場合、左側はウォール・オブ・サウンドそのもので、右側はそれを模倣したエコーやリバーブとなる。

「ジョンのボーカルにはメガホンで歌っている雰囲気を出すためにディストーションが加えられた。("Distortion was added to John's lead vocal ~")」と解説されている通り、オリジナルには歪んだボーカルが入っている。これはミキシング時にディレイを掛けたボーカルに施した処理のようであるが、リミックス版ではそれを確認できない。

なお、歌い出しの"instant"はやや音量を上げている。
また、オリジナルでは高音側のピアノを主として、低音側のピアノは後半に向かって音量を上げているが、リミックスでは最初から低音側のピアノを主としている。
『LENNON 2010 SINGLES』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 1』
ウォール・オブ・サウンド

0'00"~:ボーカルのディレイにディストーション
0'00"~:高音側のピアノが大きめ
ボーカルと演奏
ウォール・オブ・サウンド風エコー

~2'30":低音側のピアノが大きめ

2-14 Instant Karma! (We All Shine On) (take 1)

3-14 Instant Karma! (We All Shine On) (without Wall Of Sound)
フィル・スペクターによるウォール・オブ・サウンドを模倣したエコーを除いたミックス。
歌い出しの"instant"はDisc1のリミックスと全く同じ音量バランスで、リミックス版と同一音源から作成しているのが分かる。

『JOHN LENNON 2021 Disc 1』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 3』
ウォール・オブ・サウンド風エコー
ボーカルと演奏
(無し)

4-14 Instant Karma! (We All Shine On) (take 10)
リミックス用と同じ第10テイクをフェードアウトさせないでミックスしているが、歌い出しの"instant"を加工して"karma"と音量を揃えているのを確認できる。

『JOHN LENNON 2021 Disc 1』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 4』
ウォール・オブ・サウンド風エコー

3'19":F.O.
ボーカルと演奏
(無し)

0'05":"instant"が大きめ
3'40":カットアウト

オリジナルとの比較は下表となる。この場合、左側はウォール・オブ・サウンドそのものとなる。
なお、オリジナルでは前半はピアノを抑え気味で、2'30"以降のコーラスに入ってから音量を上げているのを確認できる。
『LENNON 2010 SINGLES』 比較音源 『JOHN LENNON 2021 Disc 4』
ウォール・オブ・サウンド

3'19":F.O.
ボーカルと演奏
(無し)

0'05":"instant"が大きめ3'40":カットアウト