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Coming Up | ディスク1に収録されているのは(図の上側)長短6箇所を削除した編集バージョンである。
まず、2コーラス終わった1分19秒で間奏前のリフ4小節の内、前半2小節をカットしている。
1コーラス目から2コーラス目に入る箇所も2小節なので同じ長さにした訳だ。
ちなみに、フルレングスバージョンの1分27秒(間奏に入って2小節目の2拍目)ではサックスの擦れた音が軽減されていることから、
フルレングスバージョンでも今回それなりのリマスター処理が施されたと考えられる。
3コーラス目後のブリッジ部分では2分11秒(リフの3回目)で3回目と4回目のリフを削除、
2分26秒で4コーラス目は他と比べるとラフ過ぎたためかバッサリ削除している。
その直後は複雑で、14小節繰り返されるリフの内、1、2、(2分28秒)、4、5、6、7、(2分35秒)、12番目を削除している。
最後は3分30秒以降、1コーラス目の歌詞に戻る箇所の直後まで削除してエンディングを迎える。
それまでの編集は事務的に小節の区切りで行われている感じだが、最後だけは"coming up"のタイミング(4拍目)で編集している。
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Front Parlour | イントロは3拍目の裏から始まるトリッキーなパーカッションが3小節余りあり、
続いて45秒ほどのメインテーマを3回繰り返すのがフルレングスバージョンである。
各繰り返しには特に違いがあるわけではないためリリースバージョンでは繰り返しなしの1回としている。
編集箇所はメインテーマが始まって4小節経過したところ(0分13秒)でカットし、1回目の残りと2回目全てを削除、
3回目の同位置(5小節目)につないでいる。
この編集により繰り返しでアレンジが変わる、ポールお得意の構成となっている。
更に2分09秒、ブリッジとなるメロディー部分で5小節を削除している。
これはショートバージョンを作るためというよりメロディーラインがハッキリしていないためだろう。
編集自体はこの2箇所のみであるが、フルレングスバージョンの方がフェードアウトが若干速いためエンディングが短いというおまけ付きとなっている。
この辺りはリマスター作業によるものだろう。
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Frozen Jap | フルレングスバージョンとリリース版は別ミックスであり、編集前のバージョンはどこかに存在しているはずである。
フルレングスバージョンの特徴は、メロディラインを弾いている中央のシンセにディレイが掛かってなく(リリース版では左から聴こえている)、
キックの音が大きめになっている点である。
リリース版での編集箇所は4箇所あり、まず1分01秒(小節の区切り位置)でメインテーマ(1分01秒までの演奏を指す)の繰り返し部分を1回分削除。
この削除された演奏では、中間のドラム演奏が5小節多く入っているが特にインパクトのあるものでは無かったためであろうか?
続いて、2回目(フルレングスバージョンでは3回目)のメインテーマの繰り返しでは更に長いドラム演奏があり、
1分42秒で以降の6小節を削除している。
2分24秒から削除された12小節は、ドラム演奏が1小節、間違って演奏を始めたシンセを含む1小節、メインテーマの前半10小節という内容で、
明きらかに不要な箇所なのだろう。
最後の3分12秒でもメインテーマの前半13小節が削除されてエンディングを簡潔にしている。
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Darkroom | リリース版は、フルレングスバージョンの使えるところは使い、修正したい箇所はリミックスで差し替えたバージョンとなっている。
前半1分43秒まではフルレングスバージョンを使っているが、0分40秒から0分53秒にかけてリミックスによる差し替えを行っている。
サビとサビの間の8小節で、ベース音は控えめにし、かすかに聴こえていたSEを大きめかつパンポットで左右に移動させて目立たせている。
その後、1分43秒(サビの直前の4拍目で"come"を含むようにしている)から延々と繰り返されるサビを1分27秒間バッサリ削除。
Aメロとサビを同時に歌うお得意のパターンの箇所へ繋いでエンディングを迎えている。
フルレングスバージョンと言っても3分47秒しかなく短くする必要もないと思われるが、
削除された箇所にはアドリブボーカルやアドリブギターが入っているというより、
何を入れるか試行錯誤している内に納期が来て完成しなかったため削除したという感じである。
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Check My Machine | シングルのB面としてリリースされたバージョンはディスク2に収録されている。
基本的にはフルレングスバージョンからの編集バージョンであるが、イントロのSEが6秒長かったり、
エンディングのSEが別のものになったりしている。
8箇所を編集して3分余り短くなっているが、それでも6分弱の大作である。
タイトルを連呼するパートをサビ、スキャット部分をAメロと呼ぶとすると、
最初の編集は0分57秒、中途半端な印象を受けるAメロの後ろ4小節を削除してサビに繋いでいる。
続いて1分20秒、Bメロからサビと続く部分を削除して2回目のBメロが初登場となるようにしている。
1分41秒から1分53秒の8小節("check it my machine"を2回繰り返す箇所)は珍しい編集となっており、
フルレングスバージョンの後半部分である7分05秒から7分17秒を抜き出して挿入している。
以降は単純な削除が続き、3分15秒ではサビのバリエーションを47秒削除、
4分02秒でも同じく26秒削除、4分25秒でも同じく24秒削除、
4分53秒では47秒削除しているが前述の通り途中の12秒間は生かしている。
エンディングでは5分17秒以降を再作成しており、フルレングスバージョンのフェードアウト間際に入っているセリフ部分を
前に持ってきてフェードアウトを早めにしている。
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Wonderful Christmastime | フルレングスバージョンでは3回繰り返す場合がある"simply having wonderful christmastime"を2回に統一したものがリリース版となっており、
ショートバージョンというよりはアレンジ修正といった意味合いであろう。
まず、1分36秒では3回のうち1番目を削除(2回目の歌詞を生かすために4拍目裏で編集)。
続いて1分56秒でも3回のうち1番目を削除、2回目の歌詞は4拍目表に"We're"があるためか、こちらは小節の区切りで削除。
2分37秒では3回のうち2番目を削除(小節の区切りで編集)。
3分12秒と3分18秒は一連のもので、フルレングスバージョンでは5回繰り返しているところを、
2番目と4番目を削除(小節の区切りで編集)している。これにより「通常2回だが最後だけ3回繰り返す」というアレンジに変更したものと考えられる。
これら以外の修正は、2分57秒ではボーカル直前の演奏1小節を削除しているのと、
2分55秒と3分08秒にある編集跡である。編集跡はズレが極僅かなので、「何かの目的で一度切り離したが元に戻した」といった感じに思われる。
なお、本CDに収録されたショートバージョンは中々の問題作となっている。 2分22秒の2拍目("party"のタイミング)に入っているキックの音が消えているのである。 破裂音"p"に対するデジタル処理の弊害と思われるが、不思議なことにフルレングスバージョンでは残っている。 残っているというより、以前に『BACK TO THE EGG』に収録されたものより明瞭になっている。 デジタル処理の微妙な設定でここまで違うのか、と思わせる相違である。 ![]() |
Summer's Day Song | ディスク3に収録されているのは、「ウィズアウト・ヴォーカルズ」というタイトルが示す通りのボーカル抜きバージョンだが、
単なるカラオケバージョンではなく別ミックスである。
大きな違いは右チャンネルで聴こえるフルートのディレイ音が「オリジナル・ウィズアウト・ヴォーカルズ」には入ってない点と、
フェードアウトが少し早くなっている点である。
元々インストゥルメンタル曲として制作され、
ギリギリになってポールのレプリカスタジオでボーカルが追加レコーディングされたことが
同梱された資料に記されている(トラックシートにも追加されたボーカル類が赤い文字で書かれている)。
「オリジナル」と付いていることからも複数のミックスが作成されていたことが伺えるが、
改めてミキシングし直すことが難しかったのか、ボーカル箇所は部分的な差し替えで編集されている。
0分18秒(ボーカルが入る小節の1拍目)から0分47秒(ボーカルが終わる小節の4拍目)と、
2分22秒(ボーカルが入る小節の1拍目)から2分51秒(ボーカルが終わる小節の3拍目、右チャンネルのブラス風の音のタイミング)で編集されているが、
ボーカルパートになるとリズムボックスの音量が極端に下がるので分かりやすいと思う。
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Waterfalls [DJ Edit] | テープボックスやトラックシートを見ると最初は"I NEED LOVE"と記されている。
ポールがもっとも気に入っていたという言葉を証明するかのようにタイトルが変更されているのはこの曲だけである。
ディスク3に収録されたのは極普通のショートバージョンだが、曲を短くしてでも流して欲しかったという表れだろう。
2分24秒(4拍目裏の"and"のタイミング)から3分26秒(4拍目裏の"yeah"のタイミング)までのサビ1回とAメロ1回を削除。
エンディングは1番の歌詞に戻るが"please"を歌う直前に完全にフェードアウトさせている。
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